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名家の当主たる父は未だ衰えを知らず、気に入った娘を囲っては、その身勝手な振る舞いで屋敷を意のままにしていた。僕から光を奪った、あの身悶えするような出来事も、父の気まぐれな横恋慕から始まったことだった。父の手にかからないように、僕が綾を屋敷から出さざるを得なかったあの日から、どれほどの月日が流れただろうか。あの廊下に響いていた、カツカツという控えめな足音は永遠に消え去ったかと思われた。日々の清掃が行き届いたはずのこの洋館は、彼女という魂を抜き取られた抜け殻となり、僕はただ、愛おしい幻影を胸に抱いて日々をやり過ごすしかなかった。だが、運命は僕たちに味方した。父が長期の海外滞在に入り、屋敷は再び僕たちの秘密の楽園となった。その報せを伝えると、彼女は迷うことなく、あの懐かしい姿で戻ってきてくれた。再会を確かめ合うように、僕たちは庭園の東屋へ向かう。木漏れ日が綾の頬を柔らかな光で縁取り、久しく忘れていた安らぎと、底知れぬ情熱が同時に胸にこみ上げる。離れていた時間、募らせた焦がれるような想い、抑えきれない感情が、堰を切ったようにあふれ出す。もう、僕たちを隔てるものは何もなかった。「若様、ずっと待ち焦がれておりました。お戯れのつづきを……」彼女が呟く。その甘い言葉への返答は、唇を重ね、抱きしめる腕の力に込めた。離れていた時間の渇きを埋めるように、僕たちは互いの身体に触れ、官能の淵へと沈んでいった。その熱い吐息と、秘めやかな愛の囁きだけが、静謐な庭園に響き渡っていた。R-18のイラスト集□収録内容・序章:35枚（他サイトで掲載しているものと同じものです）・本編:250枚・おまけ:100枚（ボツ画像）・約6分のおまけ映像。5分30秒と約1分の計2本収録（無音の映像作品となります）・解像度 画像:1752×2560px（動画:512x768px ＋ 432x640px）・ファイル形式:zipファイルに圧縮したjpg画像＋mp4動画・AIを使用してイラストの制作を行っています。 ・局部には全てモザイク処理を施しております。・登場している人物は全て架空の人物で成人済みです。 ｜d_666411｜月森綾『蜜月と背徳』｜

祭りの夜、私は人目を忍ぶように瑞穂と出かけた。周囲に知られることのない、密やかな逢瀬を重ねるたびに、胸の内の不安は肥大し、次第に彼女から距離を置くようになっていた。だが、賑やかな参道で無邪気に微笑む彼女の姿に、今日という日を共にしてよかったと、心からそう思ったのだ。盛大に夜空を彩る花火を背に、私たちは祭りの喧騒から離れていく。人気のない帰り道、ふと隣を見れば、瑞穂の表情は寂しげに曇っていた。次にいつ会えるか分からないという、互いに言葉にしない不安が、重く私たち二人の間に横たわっていた。彼女は何も語らず、ただ暗い顔のまま、今はあまり使われていない神社の階段を静かに登っていく。境内にある古びた小屋の前で立ち止まると、瑞穂は私の顔をじっと見つめ、そしてゆっくりと、その浴衣の裾に手をかけた。次の瞬間、揺らめく提灯の光の中で、彼女は嘲笑うかのように艶然と微笑んだ。私の臆病な心を見透かすかのような、甘く、それでいて残酷な笑み。躊躇する私を置き去りにするように、瑞穂は静かに、しかし大胆に、浴衣の帯を解き始めた。「愚かな人。お咎めを恐れているなら、なぜあの日、私を……。」「もう、あなたは後戻り出来ないのよ？」私は、自分がどれほど愚かであったかを知った。何を恐れていたのか。彼女を愛することに、何をためらう必要があったというのか。彼女の白い肌が月に照らされ、官能的なまでに輝くその姿は、私の中の迷いを全て焼き払うようだった。罪を恐れて怯える私を、彼女は既に罪の深淵へと誘っていたのだ。R-18のイラスト集□収録内容・序章:30枚（他サイトで掲載しているものと同じものです）・本編:260枚・おまけ:100枚（ボツ画像）・約3分のおまけ映像（無音の映像作品となります）・解像度 画像:1752×2560px（動画:512x768px）・ファイル形式:zipファイルに圧縮したjpg画像＋mp4動画・AIを使用してイラストの制作を行っています。 ・局部には全てモザイク処理を施しております。・登場している人物は全て架空の人物で成人済みです。 ｜d_647328｜霧島瑞穂『祭夜の契』｜